ポスト抗体の道具立て -第二回- Adnectin
第二回はAdnecinを紹介しよう。
Adnectinは細胞膜に発現する糖たんぱく質であるfibronectinをベースに作られている。fibronectinの中には他のタンパクに結合するドメインが複数あり、その中でもAdnectinはType III fibronectin の10th domain, 10Fn3が使われている。このドメインには抗体のCDRに類似した3つのループ構造が存在し、実際に生体内のfibronectin内でも配列の多様性が存在することから、このドメインがCDR様に働くことが想定された。実際、21残基をランダム化した10Fn3のライブラリから分子進化によって、種々のタンパクに対するadnectinが選択されている。
安定性も高く、半減期の長いadnectinの設計が可能だということだが、その一方で半減期の短いものも作成可能のようである。工業的製造に関しても大腸菌で大量に生産することが可能のため、コスト的なメリットもある。
この技術を有していたAdnexusは2007年に$500Mもの額でBMSに買収されたが、Adnexusの前身であるCompound Therapeuticsも2004年にPhylosという企業を買収して形成されており、本技術の魅力がうかがえる。現在VEGFR type2結合adnectinであるCT-322が多形性神経膠芽腫でP2実施中。